太陽光発電のための多点間観測による発電電力予測に関する基礎研究

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    太陽光発電のための多点間観測による発電電力予測に関する基礎研究 ~太陽光発電システムの協調運用実現に向けて~
    琉球大学 工学部 情報工学科
    005760G 與那嶺 裕
    指導教官 長田智和・玉城史朗
    1.はじめに
    環境問題の対策として,自然エネルギーの利用が注目されている
    小さな離島が多い地域などでは,農業用に用いる電源の確保が問題となっている
    太陽電池を主体とした独立型の電源を開発することは非常に有用である
    2.本研究の目的
    太陽電池は発電量が天候に左右される欠点を持つため,他の発電システムとの協調運用が不可欠である
    既存の研究より,協調運用実現の研究課題として,可能な限り早期に正確な太陽電池の電力量変動予測を行うことが挙げられている
    本研究では正確な太陽電池の電力量変動予測を行うことを目的とする
    3.システムの概要と仕様
    3.システムの概要と仕様
    太陽電池
    A/Dコンバーター
    PC
    観測地点A
    太陽電池
    A/Dコンバーター
    PC
    観測地点B
    太陽電池
    A/Dコンバーター
    PC
    観測地点X
    太陽電池
    A/Dコンバーター
    PC
    発電量予測対象地点
    データ送信
    3.1.観測地点
    本研究では農学部に設置した
    行われる動作は以下の通りである
    観測された発電量をPCに取得する
    それを発電量予測対象地点のPCに送信する(ただし,本研究ではデータを送信せず,PCにデータを蓄積した)
    3.1.発電量予測対象地点
    本研究では工学部に設置した
    行われる動作は以下の通りである
    観測された発電量をPCに取得する
    観測地点から送信されたデータをPCに取得する
    得られたデータより,発電量予測対象地点の発電量を予測する
    4.発電量データの取得方法(1)
    受光面への放射照度(日射強度)が変化すると発生電流が変化し,発電量が変化する
    放射照度の強さが変わっても発電電圧はほとんど変わらない
    4.発電量データの取得方法(1)
    受光面への放射照度が変化すると発生電流が変化し,発電量が変化する
    放射照度の強さが変わっても発電電圧はほとんど変わらない
    電圧
    電流
    0
    放射照度:強
    放射照度:中
    放射照度:弱
    4.発電量データの取得方法(2)
    太陽電池と抵抗Rを直列につなぎ,抵抗Rの両端をA/Dコンバーターに接続した
    放射照度の強さに比例して,抵抗Rに流れる電圧は大きくなる
    抵抗Rに流れる電圧を太陽電池の発電量に見立てて予測を行った
    5.予測結果
    以下の3通りの手法で2月7日~2月11日の7:00~18:30にかけて30秒後の発電量予測を行った
    発電量予測対象地点のデータのみを使った回帰分析-単回帰直線のあてはめ
    発電量予測対象地点のデータのみを使った回帰分析-高次関数のあてはめ
    発電量予測対象地点と観測地点のデータを使った重回帰分析(多点間観測による予測)
    5.1.単回帰直線のあてはめ(1)
    利用する過去データの数(N)を変えて予測を行った
    単回帰直線y=ax+bのyは発電量予測対象地点で取得した発電量,xは時刻として予測を行った
    (予測値/実測値)×100を予測精度とし,これより予測の精度を比較した
    5.1.単回帰直線のあてはめ(2)
    37.75
    36.45
    20.29
    20.67
    20.74
    20.37
    標準偏差
    96.81
    99.71
    100.84
    100.63
    100.50
    100.34
    平均
    2/11
    51.59
    41.22
    21.68
    16.49
    15.04
    14.53
    標準偏差
    97.04
    100.73
    100.09
    99.67
    99.72
    99.78
    平均
    2/10
    37.

    資料の原本内容

    太陽光発電のための多点間観測による発電電力予測に関する基礎研究 ~太陽光発電システムの協調運用実現に向けて~
    琉球大学 工学部 情報工学科
    005760G 與那嶺 裕
    指導教官 長田智和・玉城史朗
    1.はじめに
    環境問題の対策として,自然エネルギーの利用が注目されている
    小さな離島が多い地域などでは,農業用に用いる電源の確保が問題となっている
    太陽電池を主体とした独立型の電源を開発することは非常に有用である
    2.本研究の目的
    太陽電池は発電量が天候に左右される欠点を持つため,他の発電システムとの協調運用が不可欠である
    既存の研究より,協調運用実現の研究課題として,可能な限り早期に正確な太陽電池の電力量変動予測を行うことが挙げられている
    本研究では正確な太陽電池の電力量変動予測を行うことを目的とする
    3.システムの概要と仕様
    3.システムの概要と仕様
    太陽電池
    A/Dコンバーター
    PC
    観測地点A
    太陽電池
    A/Dコンバーター
    PC
    観測地点B
    太陽電池
    A/Dコンバーター
    PC
    観測地点X
    太陽電池
    A/Dコンバーター
    PC
    発電量予測対象地点
    データ送信
    3.1.観測地点
    本研究では農学部に設置した
    行われる動作は以下の通りである
    観測された発電量をPCに取得する
    それを発電量予測対象地点のPCに送信する(ただし,本研究ではデータを送信せず,PCにデータを蓄積した)
    3.1.発電量予測対象地点
    本研究では工学部に設置した
    行われる動作は以下の通りである
    観測された発電量をPCに取得する
    観測地点から送信されたデータをPCに取得する
    得られたデータより,発電量予測対象地点の発電量を予測する
    4.発電量データの取得方法(1)
    受光面への放射照度(日射強度)が変化すると発生電流が変化し,発電量が変化する
    放射照度の強さが変わっても発電電圧はほとんど変わらない
    4.発電量データの取得方法(1)
    受光面への放射照度が変化すると発生電流が変化し,発電量が変化する
    放射照度の強さが変わっても発電電圧はほとんど変わらない
    電圧
    電流
    0
    放射照度:強
    放射照度:中
    放射照度:弱
    4.発電量データの取得方法(2)
    太陽電池と抵抗Rを直列につなぎ,抵抗Rの両端をA/Dコンバーターに接続した
    放射照度の強さに比例して,抵抗Rに流れる電圧は大きくなる
    抵抗Rに流れる電圧を太陽電池の発電量に見立てて予測を行った
    5.予測結果
    以下の3通りの手法で2月7日~2月11日の7:00~18:30にかけて30秒後の発電量予測を行った
    発電量予測対象地点のデータのみを使った回帰分析-単回帰直線のあてはめ
    発電量予測対象地点のデータのみを使った回帰分析-高次関数のあてはめ
    発電量予測対象地点と観測地点のデータを使った重回帰分析(多点間観測による予測)
    5.1.単回帰直線のあてはめ(1)
    利用する過去データの数(N)を変えて予測を行った
    単回帰直線y=ax+bのyは発電量予測対象地点で取得した発電量,xは時刻として予測を行った
    (予測値/実測値)×100を予測精度とし,これより予測の精度を比較した
    5.1.単回帰直線のあてはめ(2)
    37.75
    36.45
    20.29
    20.67
    20.74
    20.37
    標準偏差
    96.81
    99.71
    100.84
    100.63
    100.50
    100.34
    平均
    2/11
    51.59
    41.22
    21.68
    16.49
    15.04
    14.53
    標準偏差
    97.04
    100.73
    100.09
    99.67
    99.72
    99.78
    平均
    2/10
    37.91
    37.71
    16.38
    11.91
    11.71
    12.00
    標準偏差
    97.04
    101.03
    99.52
    99.72
    99.86
    99.93
    平均
    2/9
    30.84
    25.77
    9.32
    7.45
    9.13
    11.13
    標準偏差
    95.53
    98.04
    99.65
    99.86
    100.00
    100.05
    平均
    2/8
    37.08
    25.56
    8.38
    6.02
    5.77
    6.90
    標準偏差
    95.09
    96.83
    99.75
    99.80
    99.90
    99.98
    平均
    2/7
    N=120
    N=60
    N=10
    N=5
    N=3
    N=2
    5.2.高次関数のあてはめ(1)
    利用する過去データの数(N)を変えて予測を行った
    高次関数の次数pの値をP=2,3,4と変え予測を行った
    関数y=a0+a1*x+・・・+ap*x^pのyは発電量予測対象地点で取得した発電量,xは時刻として予測を行った
    (予測値/実測値)×100を予測精度とし,これより予測の精度を比較した
    5.1.単回帰直線のあてはめ(2)
    39.90
    32.01
    22.80
    25.04
    標準偏差
    102.69
    101.57
    100.70
    100.65
    平均
    2/11
    44.17
    37.67
    19.84
    18.62
    標準偏差
    102.45
    102.46
    99.54
    99.96
    平均
    2/10
    44.80
    37.21
    14.47
    14.31
    標準偏差
    104.17
    102.19
    99.76
    99.96
    平均
    2/9
    25.57
    20.42
    8.48
    11.40
    標準偏差
    99.82
    99.72
    99.93
    100.14
    平均
    2/8
    34.15
    20.59
    7.19
    7.57
    標準偏差
    102.03
    99.78
    99.83
    99.98
    平均
    2/7
    N=120
    N=60
    N=10
    N=5
    P=2
    5.1.重回帰分析(1)
    利用する過去データの数(N)を変えて予測を行った
    関係式y=a0+a1*x1+a2*x2のyは発電量予測対象地点で取得した発電量,x1,x2はそれぞれ発電量予測対象地点と観測地点の発電量の予測値として予測を行った
    x1,x2は先の2つの予測で最も精度が良好であった「N=3としたときの単回帰直線のあてはめ」で求めた
    (予測値/実測値)×100を予測精度とし,これより予測の精度を比較した
    5.1.重回帰分析(2)
    24.39
    22.77
    23.36
    37.72
    標準偏差
    107.31
    105.26
    101.80
    102.48
    平均
    2/11
    13.86
    13.16
    26.71
    61.64
    標準偏差
    101.46
    100.90
    100.99
    105.17
    平均
    2/10
    11.53
    11.50
    14.91
    20.44
    標準偏差
    100.98
    100.90
    99.79
    97.61
    平均
    2/9
    8.58
    8.88
    18.18
    27.49
    標準偏差
    99.98
    99.99
    97.64
    92.62
    平均
    2/8
    4.42
    5.62
    12.10
    23.46
    標準偏差
    99.98
    99.92
    98.76
    93.89
    平均
    2/7
    N=120
    N=60
    N=10
    N=5
    6.考察(1)
    発電量が緩やかに変化した日の方が発電量が激しく変化した日より予測精度が高かった
    過去の傾向から予測を行う回帰分析に対して,雲などによる急激な天候の変化が,過去の傾向とは無関係な発電量の変化を引き起こす
    6.考察(2)
    重回帰分析により,発電量が激しく変化した日の予測精度は逆に低くなった
    説明変数に発電量予測対象地点と観測地点の発電量の予測値を使用した
    天候が激しく変化した日は,観測地点と発電量予測対象地点の発電量の変化の割合が大きく異なっていた
    6.考察(3)
    38.82
    39.14
    15.27
    10.41
    10.02
    12.28
    標準偏差
    99.16
    100.77
    99.34
    99.60
    99.81
    99.89
    平均
    N=120
    N=60
    N=10
    N=5
    N=3
    N=2
    単回帰直線のあてはめによる予測の場合
    4.63
    3.78
    11.73
    16.66
    標準偏差
    98.80
    98.88
    97.69
    96.36
    平均
    N=120
    N=60
    N=10
    N=5
    重回帰分析(他点間観測)による予測の場合
    7.まとめ
    発電量が緩やかに変化した日の予測精度は高くなったが,発電量が激しく変化した日の予測精度は逆に低くなった
    観測地点を増やすことで,発電量予測対象地点で後に起こり得る発電量の変化を知ることができれば,多点間観測による発電量予測の精度は向上すると考えられる
    8.今後の課題
    長期間にわたる観測・予測
    多点間観測による発電量予測の予測可能時間の調査
    観測地点の設置
    風向データの利用
    データ通信によるリアルタイム予測
    謝辞
    本研究を遂行するにあたり,その貴重な機会を与えて下さるとともに,御多忙に関わらず終始懇切なるご指導と御教授を賜りました琉球大学情報工学科玉城史朗教授に深く敬意と感謝の意を表します.
    また,本論文の作成および本研究を遂行するにあたり,御多忙に関わらず終始懇切なるご指導と御教授を賜りました琉球大学情報工学科助手長田智和先生に深く敬意と感謝の意を表します.
    そして,本論文の作成および本研究の遂行にあたり,有益な御指導,御意見,御協力をいただいた琉球大学情報工学科高良富夫教授,河野真治助教授,新垣秀雄先生に深く感謝の意を表します.
    最後に,本研究の遂行にあたり御協力,御助言を頂いた琉球大学教育研究科木本守さん,琉球大学工学部情報工学科自律分散研の川満貴子さん,知花孝浩さん,山城博幸さんら緒先輩方,並びに儀間聡君,島田樹君,玉城優子さん,與那覇寛庸君,山城大介君ら学部生の皆さんに深く感謝致します.

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