イタリアの太陽光発電の動向

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    NEDO海外レポート NO .1011, 2007.11.14
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    【再生可能エネルギー特集】太陽光発電
    イタリアの太陽光発電の動向
    1. イタリアの太陽光発電設備増加中
    太陽光発電設備で生産した電力を国営の電力サービス管理会社(Gestore Servizi
    Elettrici/GSE)に非常に優遇された電力料金で販売することが出来ると言う「エネルギー
    アカウント方式」がイタリアにおいても 2005 年 7 月末の暫定措置(旧エネルギー・アカ
    る補助金システムでは太陽光発電設備が故障したら修理されずに放置されるという場面が
    多々あったために、設備投資は設備保有者が全て負担するが、その代わりに生産された電
    力は 20 年間保証された優遇料金で GSE が買い取る。太陽光発電設備コストは、GSE に
    販売する電力料金によって約 14~15 年で償却でき、その後は収入に転換する。このため
    ができる“エネルギーアカウント方式”導入は、当初関係者から熱烈な歓待を持って受け入
    れられたが、諸事情によって実際の結果はあまり思わしくないものであった。
    「旧エネルギーアカウント方式」が成功しなかった第 1 番目の原因は、優遇料金適用申
    請に関わる公官庁における手続が複雑で時間を要することにあった。よって旧方式におけ
    ネルギーアカウント方式」が 2007 年 2 月 19 日に導入された。「新エネルギーアカウント
    方式」導入によって、また環境省によるテレビ等のマスメディアを使った大々的な宣伝に
    よって現在イタリアにおいては太陽光発電設備設置ブームが起こっている。
    2005 年末までにおけるイタリアの太陽光発電設備設置総出力は、約 35MW であった。
    2006 年末時点における総設置出力は約 50MW であまり芳しくなかったが、1 年前に設立
    されたイタリアの太陽光発電設備産業協会(ASSOSOLARE)は、2007 年におけるイタリ
    アの太陽光発電設備は、5 億~6 億ユーロの取引高を持って、少なくとも 80MW の太陽光
    発電設備が設置されるであろうと言っている。
    環境省は、過去に制定されたいくつかの「新エネルギー普及政策」において計上されて
    いたが実際には使われなかった予算や、税収入の一部は新エネ普及のために使われるとさ
    れていたカーボンタックスから出される予算を集めて、上記した太陽光発電設備普及のた
    めの「新エネルギーアカウント方式」措置とは全く別の、従来実施されていたような新エ
    ネ源設備設置コストを補助すると言う“補助金”
    ー設備、風力設備、バイオマス設備のための補助金告示を 2007 年において 3 回に分けて
    実施した。金額的には多くはないがこれらの補助金申請は大成功を収めつつある。テーマ
    NEDO海外レポート NO .1011, 2007.11.14
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    別に分かれている新エネ補助金は、割当金額が無くなったら告示は締め切られるというも
    のである。(表参照)
    2007
    年における新エネルギーのための環境省補助金公布
    単位:ユーロ
    告示終了
    ・中小企業のための新エネルギー 25,822,844
    ・監獄のソーラー化 774,685
    ・伊スポーツ連盟(CONI )との合意 1,000,000
    告示中
    ・公共建物のためのエネルギー証明書
    (AUDIT)
    1,500,000
    新告示中
    ・学校における太陽 4,700,000
    ・建築物における太陽光発電設備 2,628,559
    ・公共企業体における太陽 10,334

    資料の原本内容

    NEDO海外レポート

    NO.1011,

    2007.11.14

    【再生可能エネルギー特集】太陽光発電

    イタリアの太陽光発電の動向
    1. イタリアの太陽光発電設備増加中
    太陽光発電設備で生産した電力を国営の電力サービス管理会社(Gestore Servizi
    Elettrici/GSE)に非常に優遇された電力料金で販売することが出来ると言う「エネルギー
    アカウント方式」がイタリアにおいても 2005 年 7 月末の暫定措置(旧エネルギー・アカ
    ウント方式)によって導入された。今まで実施されていたような設備設置の折に与えられ
    る補助金システムでは太陽光発電設備が故障したら修理されずに放置されるという場面が
    多々あったために、設備投資は設備保有者が全て負担するが、その代わりに生産された電
    力は 20 年間保証された優遇料金で GSE が買い取る。太陽光発電設備コストは、GSE に
    販売する電力料金によって約 14〜15 年で償却でき、その後は収入に転換する。このため
    設備の保全に注意しながらソーラー電力を生産すれば生産しただけ多くの収入を得ること
    ができる“エネルギーアカウント方式”導入は、当初関係者から熱烈な歓待を持って受け入
    れられたが、諸事情によって実際の結果はあまり思わしくないものであった。
    「旧エネルギーアカウント方式」が成功しなかった第 1 番目の原因は、優遇料金適用申
    請に関わる公官庁における手続が複雑で時間を要することにあった。よって旧方式におけ
    るネガティブな原因のいくつかが見直され、申請手続プロセスが大幅に簡略された「新エ
    ネルギーアカウント方式」が 2007 年 2 月 19 日に導入された。
    「新エネルギーアカウント
    方式」導入によって、また環境省によるテレビ等のマスメディアを使った大々的な宣伝に
    よって現在イタリアにおいては太陽光発電設備設置ブームが起こっている。
    2005 年末までにおけるイタリアの太陽光発電設備設置総出力は、約 35MW であった。
    2006 年末時点における総設置出力は約 50MW であまり芳しくなかったが、1 年前に設立
    されたイタリアの太陽光発電設備産業協会(ASSOSOLARE)は、2007 年におけるイタリ
    アの太陽光発電設備は、5 億〜6 億ユーロの取引高を持って、少なくとも 80MW の太陽光
    発電設備が設置されるであろうと言っている。
    環境省は、過去に制定されたいくつかの「新エネルギー普及政策」において計上されて
    いたが実際には使われなかった予算や、税収入の一部は新エネ普及のために使われるとさ
    れていたカーボンタックスから出される予算を集めて、上記した太陽光発電設備普及のた
    めの「新エネルギーアカウント方式」措置とは全く別の、従来実施されていたような新エ
    ネ源設備設置コストを補助すると言う“補助金”の形で太陽光発電設備、ソーラーコレクタ
    ー設備、風力設備、バイオマス設備のための補助金告示を 2007 年において 3 回に分けて
    実施した。金額的には多くはないがこれらの補助金申請は大成功を収めつつある。テーマ

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    NEDO海外レポート

    NO.1011,

    2007.11.14

    別に分かれている新エネ補助金は、割当金額が無くなったら告示は締め切られるというも
    のである。
    (表参照)
    2007 年における新エネルギーのための環境省補助金公布
    単位:ユーロ
    告示終了
    ・中小企業のための新エネルギー

    25,822,844
    774,685

    ・監獄のソーラー化
    ・伊スポーツ連盟(CONI)との合意

    1,000,000

    告示中
    ・公共建物のためのエネルギー証明書

    1,500,000

    (AUDIT)
    新告示中
    ・学校における太陽

    4,700,000

    ・建築物における太陽光発電設備

    2,628,559

    ・公共企業体における太陽

    10,334,422
    46,760,512

    合計
    出所:環境省

    2007 年 2 月末に予告され、4 月 26 日に告示された「中小企業のための新エネルギー」
    補助金申請は、告示の日のみで環境省によって割当てられた約 2,600 万ユーロの補助金を
    3 倍も上回る申請が中小企業から提出されたため、翌日の 4 月 27 日には早々この告示は締
    め切られた。対象となった中企業は、従業員が 250 名以下で年売上高が 4,000 万ユーロ以
    下の工業部門の企業、従業員が 95 名で年売上高が 1,500 万ユーロ以下のサービス業部門
    の企業、小企業については従業員が 50 名以下で年売上高が 700 万ユーロ以下の工業部門
    の企業、従業員が 20 名以下で年売上高が 270 万ユーロ以下のサービス業部門の企業が補
    助金を受けられる対象とされた。
    また対象となる新エネ設備は、太陽光発電設備(出力 20〜50kWp)
    、風力発電設備(出
    力 20〜100kWp)、温水等を生産するソーラー熱設備(ソーラーコレクター50〜500 ㎡、
    出力 35〜350kW に相当)
    、バイオマス設備(ペレット等による熱生産設備:出力 150〜
    1,000kW)で、中小企業に与えられる補助金は、太陽光発電設備については出力1kW に
    つき最高 6,500 ユーロ、風力発電設備は出力 1kW につき最高 2,500 ユーロ、ソーラーコ
    レクターは 1 ㎡につき 800〜350 ユーロ、バイオマス設備については出力 1kW につき 280
    〜200 ユーロの補助金が与えられる。補助金を得られた中小企業は 6 ヵ月以内に設備を完
    成せねばならない(太陽光発電設備と風力発電設備は国内電力網に連結されていなければ
    ならない)ことになっている。中小企業のための本新エネルギー設備補助金告示は、大成
    功で終了した。

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    2007 年 7 月 2 日に告示された環境省による新エネ補助金のための第 3 番目の告示(締
    切日 12 月 31 日)は、3 つのテーマに分かれる。テーマ「学校における太陽」は、公立小・
    中学校のある市や県に補助金が渡されることになるが、学校の屋根に太陽光発電設備を設
    置したい学校には、1 校につき上限額 1 万ユーロとして設備設置コストの 100%が補助さ
    れる。テーマ「建築物における太陽光発電設備」は、市庁舎、県庁の建物、公立大学、公
    的研究所の建物に完全に統合された出力 1〜50kWp の太陽光発電設備設置が対象となり、
    設置コストの 50%が補助される。 テーマ「公共企業体における太陽」は、公共企業体に
    付属する機関も含めた公社、機関、協会等が対象になり、太陽光発電設備設置コストの 50%、
    ESCO(Energy Service Company/エネルギー効率等の検査、サポート、証明書発行等
    のサービス会社)が関与したら 65%までの補助金が与えられる。
    これらのテーマによる補助金申請数は非常に多く、2007 年 9 月末時点において“学校に
    おける太陽”のための補助金申請数は 750 件あり、申請校はイタリア全州に渡っている。“学
    校における太陽”補助金総額 470 万ユーロでは、金額として多くないために、ペコラーロ・
    スカーニオ環境相は、学校における新エネ普及は、教育面からも非常に重要であることか
    ら更に新たな補助金を割り当てる意思があることを明言している。更にまた“公共企業体に
    おける太陽”のための補助金申請数も 9 月末時点において 100 件以上あったためにこのテ
    ーマの補助金も新たに割り当てられると環境相によって約束されている。
    (出所:イルソーレ 24 オーレ紙、環境省サイト(www.miniambiente.it)、イルソーレア 360 グラ
    ーディ誌、他)

    2. 太陽光発電設備とバイオマス発電設備が連結された
    新エネルギー発電所がレンデ市で落成
    2007 年 10 月 3 日イタリア南部カラブリア州コゼンツァ県レンデ市の工業ゾーンに欧州
    でも始めての太陽光発電設備とバイオマス発電設備を連結した総出力 15.3MW の新エネ
    ルギー発電所が落成した。バイオマス設備は、出力 14.3MW で既に 2000 年から存在して
    おり、近隣ゾーンから出される低木や木材が燃やされている。一方 10 月 3 日に落成した
    太陽光発電設備は、出力 1MW である。両設備ともファルックグループの新エネルギー技
    術会社 ACTELIOS 社に属する ECOSESTO 社によって設置され、運営される。
    レンデ市に設置された 1MW の太陽光発電設備は、イタリアでは第 2 番目の規模の太陽
    光発電設備であり(イタリアで最大規模の太陽光発電設備は 1993 年にイタリア中南部カ
    ゼルタ県セッレ市に設置された ENEL の 3.3MW の設備)、設置コストは、750 万ユーロ
    であった。レンデ市の太陽光発電設備は、5,486 個のパネルによって構成されており、1
    パネルは 48 個の単一結晶珪素太陽電池モジュールによって作られている。この 1MW の

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    NO.1011,

    2007.11.14

    太陽光発電設備によって年間 366 トンのオイル燃料を節約し、1,024 トンの CO2 放出を削
    減する。設備のコンポーネントは、全てイタリアのシーメンス社で製造され、寿命のため
    に使用済みに至った際には設備コンポーネントの全てが再生でき、設備はまさに環境イン
    パクトゼ...

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