風力発電と鳥の共存について

閲覧数2,736
ダウンロード数8
履歴確認

    • ページ数 : 52ページ
    • 全体公開

    資料紹介

    風力発電と鳥の共存について
    松田裕之(横浜国立大学・環境情報学府・
    環境リスクマネジメント専攻)

    リスクトレードオフ
    枯渇する化石燃料に代わる新エネルギー開発
    vs. 風車に希少猛禽類などが衝突する
    宗谷岬ウィンドファーム

    タグ

    資料の原本内容

    2007/10/6
    *
    風力発電と鳥の共存について
    松田裕之(横浜国立大学・環境情報学府・
    環境リスクマネジメント専攻)
    リスクトレードオフ
    枯渇する化石燃料に代わる新エネルギー開発
    vs. 風車に希少猛禽類などが衝突する
    宗谷岬ウィンドファーム
    */13
    Global COE「アジア視点の 国際生態リスクマネジメント」
    ミレニアム生態系評価
    自然は本来危険なもの、一定のリスクを許容する自然観が必要
    人間活動と生態系の調和 が必要
     → 生態リスクと共存しつつ評価・管理する手法の提示
    安心はゼロリスクから得られるものではなく、信頼が安心を生む。
     → 信頼構築のための制度と手法の提示
    リスクトレードオフ
    リスクコミュニケーション
     急激な技術革新に対する予防原則と科学的知見による順応的管理が必要
     先進国の持続不可能性に対する評価が必要(生態フットプリント)
     途上国の生態系と急速な経済発展との調和が必要
    生態リスクの定義:生態系サービスが損なわれるリスク
    *生態系サービス=生態系が持つ物質循環等の基盤サービス,燃料・食糧・水等の供給サービス, 気象等の調節サービス,および精神的宗教的審美的価値をもたらす文化的サービスなど
    丹沢
    *
    2007/6/22
    *
    今 日 の 内 容
    広い視野で総合的な環境政策を!
    いずれ無くなる化石資源
    オジロワシ順応的リスク管理(AMUSE)
    マガンの衝突リスク
    風力発電鳥衝突の順応的リスク管理(案)
    透明性の高い環境保全策を!
    風力発電は環境重視の優良事業
    3.16横浜国大シンポの概要
    インセンティヴのある行政施策を!
    国は事業者にできない長期総合調査を
    生態系保全措置にも補助金を!
    提案
    *
    オジロワシWhite-tailed eagle 絶滅危惧IB類(EN) 天然記念物,種の保存法に基づく国内希少野生動植物種,LC(軽度懸念)IUCN
    表.風車周辺での死骸発見
    No.
    年月
    発見場所
    1
    2004.2
    苫前町
    2
    2004.3
    苫前町
    3
    2004.12
    根室市
    4
    2005.12
    石狩市
    5
    2006.5
    苫前町
    6
    2006.6
    幌延町
    7
    2007.1
    苫前町
    8
    2007.4
    稚内市
    9
    2007.5
    根室市
    丸3年間で7個体
    撮影:佐々木茂樹氏
    NEDO風況マップ:http://www2.infoc.nedo.go.jp/nedo/top.html
    島田泰夫氏
    *
    *
    項目
    死亡する鳥類個体数
    備 考
    自動車
    6,000万~8,000万羽
    道路総延長400万マイル
    建物
    9,800万~9億8,000万羽
    450万のビルと9,350万の住宅
    送電線
    1億7,400万羽
    送電線総延長50万マイル
    通信鉄塔
    400万~5,000万羽
    80,000鉄塔
    風力発電
    1万~4万羽
    15,000施設
    項目
    内容
    全米での年間鳥類推定死亡数
    3.5万個体/6,374MW/年
    衝突率(既存文献全体)
    鳥類全般5.55個体/MW/年
    猛禽類1.85個体/MW/年
    衝突率(最近の9論文から)
    鳥類全般5.45個体/MW/年
    猛禽類1.74個体/MW/年
    海外文献島田泰夫 (2006)生物科学
    Erickson WP et al (2001) Avian Collisions with Wind Turbines
    California Energy Commission (2004) Developing Methods to Reduce Bird Mortality In the Altamont Pass Wind Resource Area
    *
    2007/6/22
    *
    風発技術は将来への投資
    風力利用は化石資源枯渇に備えた国策!
    温暖化対策、排出権取引への喫緊の政策!
    RPS法の数値目標が出発点
    + さらなる増産への具体的対応策を検討すべき!
    「日本において2010年までに自然エネルギー10%導入」(WWFジャパン気候変動プログラムの達成目標)
    自然環境への配慮も国策!
    民間事業者への補助金で成り立つ風発事業
    鳥衝突対策などに多く費用をかけると採算割れ
    採算割れしない方策が前提になる
    電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法
    *
    補助金で成り立つ現在の風発(試算)
    島田泰夫氏の試算
    一部改変
    補助金がなければ採算割れ
    原油高騰などで将来売電価格が上がれば採算が取れる
    消費者価格は現在でも>20円
    *
    気候変動が鳥類に与える脅威
    Photo: Kevin Schafer, © WWF Canon
    ・特に影響を受けるのは、渡り鳥、山岳や島嶼鳥類、水禽類、極地方に生息する鳥類、海鳥。
      渡り鳥が渡りに失敗する例が出ている。
      生態系の変動速度に同調できない種が増えている。
    ・産業革命前に比べ平均気温が2℃上昇した場合(現在は0.8℃)、絶滅の比率はヨーロッパで38%、オーストラリア北部で72%に達する可能性。
    イギリス北海沿岸(2004):イカナゴ不足で7000つがいのオオトウゾクカモメやウミガラスのコロニーが繁殖失敗。
    カリフォルニア南部沿岸(2002):旱魃により、ズアカスズメモドキ、ミソサザイモドキ、2種のトウヒチョウの繁殖率が例年の3%に落ち込む。
    アジア:ソデグロヅル(絶滅危惧種)の繁殖地のツンドラの70%が失われ、旱魃で越冬地の国立公園が使えなくなる。
      
    『Bird Species and Climate Change: The Global Status Report』 Climate Risk Pty Ltd, (2006)
    international specialists in climate change risk management
    気候変動による影響の世界的傾向を見るために、すべての大陸から200件以上の鳥類に関する学術論文を再編。
    気候変動による影響で、エトピリカのカナダ最大の繁殖コロニーが、繁殖不可能になるかもしれない。
    WWF岡安氏
    自然の過保護
    2007/6/22
    *
    風車への衝突リスクは0ではないが、他のリスクよりずっと低い
    ≪高層ビル、高圧電線、鉛中毒
    環境に悪い施設ならともかく、風車は新エネルギーの重要な候補である
    恒久改変と区別すべきである
    「自然の過保護」
    ↑野鳥の会の会報2007年4月号表紙と次号の会員の感想
    ←WWFジャパンのスライド背景
    2007/6/22
    *
    風発適地ポジティヴ地図の作成を
    発電効率vs鳥衝突vs景観等のリスクトレードオフ
    自然への「致命的」影響のある場所はわずか
    <500m単位での評価=鳥衝突のリスクは局所的
    自然エネルギー開発の数値目標を達成する立場での立地選定のための地図が必要
    総合的判断でないアヴォイド地図は温暖化容認・化石燃料依存運動である
    2007/6/22
    *
    今 日 の 内 容
    広い視野で総合的な環境政策を!
    いずれ無くなる化石資源
    オジロワシ順応的リスク管理(AMUSE)
    マガンの衝突リスク
    風力発電鳥衝突の順応的リスク管理(案)
    透明性の高い環境保全策を!
    風力発電は環境重視の優良事業
    3.16横浜国大シンポの概要
    インセンティヴのある行政施策を!
    国は事業者にできない長期総合調査を
    生態系保全措置にも補助金を!
    提案
    *
    AMUSEによる個体群管理
    安全→そのまま稼働
    注意→徐々に衝突係数を上げる
    警戒→衝突係数を最小に絞り,保護増殖を実施する.
    個体数を観測して,基準に応じた管理を行う.
    巣立
    保護増殖
    死亡
    バードストライク
    島田泰夫氏
    *
    *
    管理モデル(AMUSE)の概要
    個体数(t+1)
    個体数(t)



    個体数(t+1)
    個体数(t)
    衝突率
    【自然条件下】
    【風車稼働】
    衝突係数
    (管理)衝突数=個体数×衝突率×衝突係数(0~1)
    成長率
    保護増殖措置



    発見数
    島田泰夫氏
    *
    *
    衝突係数Fとは?
    衝突率を低減させる係数(0~1)である.
    (相対)稼動率の関数である.
    表.衝突率の低減策
    1.殺鼠剤の中止
    ×
    2.餌資源(ネズミ類)の除去
    ×
    3.風車の撤去(移設)
    ×
    4.風車の一時停止
    ○採用
    5.大型風車への置換
    ×既に大型化
    6.忌避設備の導入

    7.ブレード視認性向上

    8.警戒システム

    Smallwood KS and Thelander CG. (2004)
    島田泰夫氏
    *
    *
    衝突係数Fの算出方法
    推定個体群サイズ
    0
    1
    安全
    注意
    警戒
    0
    450
    550
    850
    過剰衝突分の対処
    衝突係数F
    減り始めた
    個体群の対処
    これより
    減らさない
    島田泰夫氏
    *
    *
    設備利用率AMUSE=設備利用率×(相対)稼動率
    9円/kWh
    10円kWh
    11円kWh
    9円/kWh
    10円kWh
    11円kWh
    9円/kWh
    10円kWh
    11円kWh
    (相対)稼動率
    設備利用率/年
    設備利用率AMUSE/年
    設備利用率AMUSE/17年
    業績悪化
    島田泰夫氏
    *
    2007/6/22
    *
    今 日 の 内 容
    広い視野で総合的な環境政策を!
    いずれ無くなる化石資源
    オジロワシ順応的リスク管理(AMUSE)
    マガンの衝突リスク
    風力発電鳥衝突の順応的リスク管理(案)
    透明性の高い環境保全策を!
    風力発電は環境重視の優良事業
    3.16横浜国大シンポの概要
    インセンティヴのある行政施策を!
    国は事業者にできない長期総合調査を
    生態系保全措置にも補助金を!
    提案
    2007/6/22
    *
    マガンの移動ルート
    採餌場
    加賀市片野鴨池 ねぐら
    杉本寛氏
    あわら市風力発電建設...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。