会社法事例演習教材 第二版の解答です。問題は紛争解決編(第Ⅰ部)と紛争予防編(第Ⅱ部)に別れており、それぞれ12テーマずつ。会社法における最良の演習書であると考えます。
解答のついていない本書において、本解答は貴重なものであると思います。 そして、本解答は司法試験合格者に添削をしてもらった上で作成しているため、充実した内容になっていると考えます。 また、発展的な問題については、参考文献や参考資料を引用した上で作成もしておりますので、学習の便宜上、有効な内容となっております。
Ⅱ―3 種類株式の利用
設例3-1
ケース(1)社債型優先株式
(a)Q1 優先株式を社債型のものとする場合、剰余金の配当に関する取り扱いの内容(108条2項1号)について、定款でどのように定めればよいか。
優先株式を発行する場合には、定款で当該株式の剰余金の配当・残余財産の分配に関する取扱の内容および発行可能種類株式総数を定めることを要する(108条2項1号)
具体的には、剰余金に配当に関する参加的・非参加的の別、累積的・非累積的の別、優先権の継続期間、残余財産分配に関する優先額等を定める。
そして、本件では、社債型の優先株式であるので、剰余金の配当に関して、非参加的・累積的なものとして定めればよい。
(非参加的→優先配当額のみを受ける
累積型→ある事業年度に所定の優先配当額全額の配当がなかった場合に、不足額が翌事業年度に繰り越される
株式投資から得られるリターンが固定的になる点で、分配可能額の有無に関わらず各定額の支払いを受ける社債の性質(676条3号5号)に類似する)
⇒優先株式の機動的な発行を可能とするために、具体的な金額まで定めておく必要はない。(108条3項)(108...