論題 政策評価とは何か。その意義を述べた上で、政策評価をする場合のメリットや注意
点、問題点について検討せよ。
1⑴ア 「政策」とは、行政機関が、その任務又は所掌事務の範囲内において、一定の行
政目的を実現するために企画及び立案をする行政上の一連の行為についての方針、
方策その他これらに類するものをいう(政策評価法 2 条 2 項)。政策は、理想と現実
を比較し、現実と理想を一致させることを目的とするものである。
イ 政策は、政策形成→政策実施→政策評価というプロセスをたどる。政策形成の段
階では、課題設定・政策立案・政策決定がなされる。
政策決定については、2つのモデル論がある。すなわち、伝統的モデルと合理的
モデルである。政策決定をモデル化する目的としては、①公共政策決定及び政治に
対する考え方を情緒的、感覚的ではなく簡明化すること、②政治問題の重要な側面
と要因を明らかにし、公共政策のより良い理解と質的向上を実現すること、③公共
政策を説明し、結果を予測し、最善の政策を示唆することで政策議論の活性化を促
すこと、④政策決定の本質的特徴を伝え、政策に関する人々のコミュニケーション
を助けること、などを上げることができる。政策決定モデルを具体的に理解するこ
とで、自ら政策形成を行う際の重要なツールとなるだけでなく、政策決定や政策の
質、問題点等を判断するためのツールとして重要な役割を果たすことになる。
伝統的モデルは、現実の政治・行政で展開されるモデルであり、具体的には「グ
ループモデル」、「エリートモデル」、「制度モデル」等がある。他方、合理的モデル
は、伝統的モデルに対して客観性(比較可能性)を求め、政策形成の質を高めるもの
であり、具体的には、「増分主義モデル」、「厚生経済モデル」、「公共選択モデル」、「ゲ
ームモデル」等がある。
⑵ 「評価」とは、上記の政策に関する目的、 目標、実施過程、結果、成果、効率性を
明らかにするための体系的な社会調査活動をいう。政策評価における「評価」の対象
は4種類ある。すなわち、①理論(セオリー)、②実施過程(プロセス)、③改善効果(イ
ンパクト)、④効率性(コスト・パフォーマンス)である。
⑶ 「政策評価」とは、具体的に実施した政策 、実施途上にある政策、あるいは政策を
実施する以前において、政策形成で設定した課題がどの程度効率的かつ有効に解決さ
れているかを検証するプロセスのことをいう。政策評価を行う意義は、増分主義から
減分主義に変化している社会において行政の効率化・コスト削減を図ることが可能と
なる点、及び、政策評価の結果を政策形成プロセスにフィードバックすることで、よ
り良い政策を実現することができる点にある。
2 政策評価を行なうにあたっては、「客観性」と「規範性」が担保されていることが必要
である。
⑴ 客観性とは、数字等に基づく評価であるこ とをいう。これは、評価の公平性や信頼
性を担保し、評価に基づく施策、事務事業の執行マネジメントを実現するための前提
となる。
数字で示すことの第 1 の意味は、他の組織、他の事業等との比較可能性を担保する
点にある。すなわち、数字で示すことによって他の組織等との比較が可能になり、相
対的正確性が検証できるのである。数字で示すことの第 2 の意味は、評価の「ものさ
し」となる点にある。すなわち、事業等の執行が当初予定した「ものさし」とどの程
度乖離しているかを認識し、執行マネジメントを実現するための手段となることで、
政策のラグを回避す
論題 政策評価とは何か。その意義を述べた上で、政策評価をする場合のメリットや注意
点、問題点について検討せよ。
1⑴ア 「政策」とは、行政機関が、その任務又は所掌事務の範囲内において、一定の行
政目的を実現するために企画及び立案をする行政上の一連の行為についての方針、
方策その他これらに類するものをいう(政策評価法 2 条 2 項)。政策は、理想と現実
を比較し、現実と理想を一致させることを目的とするものである。
イ 政策は、政策形成→政策実施→政策評価というプロセスをたどる。政策形成の段
階では、課題設定・政策立案・政策決定がなされる。
政策決定については、2つのモデル論がある。すなわち、伝統的モデルと合理的
モデルである。政策決定をモデル化する目的としては、①公共政策決定及び政治に
対する考え方を情緒的、感覚的ではなく簡明化すること、②政治問題の重要な側面
と要因を明らかにし、公共政策のより良い理解と質的向上を実現すること、③公共
政策を説明し、結果を予測し、最善の政策を示唆することで政策議論の活性化を促
すこと、④政策決定の本質的特徴を伝え、政策に関する人々のコミュニケーシ...