-骨折について-
Ⅰ.骨の構造
骨の基本構造は骨膜,骨質,骨髄,関節軟骨の4つの
組織からなり,これに血管,神経,リンパ管が加わる.
骨は外層から外骨膜,皮質骨(緻密骨),海綿骨,内骨膜か
らなり,骨幹部では中央に骨髄腔がある.
①皮質骨(緻密骨):皮質骨はきわめて硬く,多数の層板
構造からなる.同心円状の層板の中央にハバース管が骨の
長軸方向に走行し,さらにハバース管同士あるいは骨皮質
外と連絡するフォルクマン管がハバース管から横走してい
る.これらの管のなかを神経,血管,リンパ管が走行して
皮質骨内に分布している.骨細胞が埋め込まれている骨小
腔を連絡する骨細管もハバース管と連絡している.ハバー
ス管を中心とした層板構造を皮質骨構造の1つの単位とし
て骨単位という.
② 海綿骨:海綿骨は骨内面に棘状,梁状に存在し,網目
構造の骨梁を形成する.硬さは皮質骨と同じで,層板構造
もあるがその数は少なく,骨単位も形成されない.ハバー
ス管も存在するが,量は少ない.海綿骨は一見,不規則な
構造をしているが,力学的にはきわめて合目的性をもった
配列で,大きな外力に対して十分な耐性をそなえた構...